放射線技師のメリット・デメリット3選!現役技師のリアルな意見を紹介

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こんにちは、放射線技師の「あき」です。

今回は「放射線技師の仕事のメリット・デメリット」について、現役の放射線技師である僕がリアルな意見をご紹介します。

この記事の想定読者さん
  • 自分仕事が合っているのか分からない放射線技師さん
  • 放射線技師を目指すかどうか悩んでいる学生さん

ぼくは放射線技師とはまったく関係にない仕事へ転職した経験もあり、広い視野からとらえた放射線技師のメリット・デメリットをお伝えできるかと思います。

(他のサイトではあまり語られていないような観点も含めてお伝えしていきます)

ぜひ、最後まで読んでみてくださいね。

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あき

診療放射線技師(30代男性・1児の父)大阪大学卒。総合病院→他職種→企業内健診→健診クリニック。現役の放射線技師や学生の方のお役に立てるコンテンツを発信中。

放射線技師のメリット3選

熱心に働いている放射線技師のイラスト

世間的によく言われる放射線技師のメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

よく言われるメリット
  • 給与が安定している(リストラは稀)
  • 医療職だから社会的信用を得やすい
  • スキルアップを目指せる(専門技師など)
  • 空調が効いた室内で仕事ができる

もちろん、僕もこれらの意見に同意です。

これに加えて、僕自身が放射線技師として複数の施設で仕事をしてきた経験を通して実感しているメリットについて、3つご紹介したいと思います。

リアルに感じたメリット
  • 望む生活スタイルを選びやすい
  • 転職・復帰しやすい
  • 社会に貢献している実感を持ちやすい

メリット① 望む生活スタイルを選びやすい

これは、放射線技師としての就職先を選ぶ際に、ざっくり分けて病院・クリニックの2択になるかと思います。

施設の規模によっても労働条件は様々ですが、おおまかに比較すると

  • 病院:収入高め・夜勤&オンコールあり・業務の幅が広い
  • クリニック:収入低め・夜勤なし・業務の幅が狭い

という特徴があります。

(本当にざっくり分けているだけなので、「ウチの施設はそうじゃない!」という意見はご勘弁いただければと思います・・・)

就職・転職したいときに、その施設の求人票を見れば、自分がそこに勤めたときに「どのような生活を送ることになるのか」がだいたい想像できるのがメリットです。

「夜勤なし」と記載があったのに、いざクリニックに就職したら夜勤があった、なんて状況はありません。

「自分はたくさんの業務を覚えるのが苦手だ」という自覚があれば、装置(モダリティ)の多い総合病院への応募はやめておく、ということもできます。

「飽き性だから、できるだけ色んな仕事に携わりたい」「最新の技術に触れてみたい」と感じる人には、大学病院がピッタリだと思います。

このように、いざ就職してから「こんなはずじゃなかった」と落胆する可能性は、医療職以外の仕事と比べれば低いです。

きちんと自分の性格を理解しておけば、職場選びに失敗するリスクはかなり下がるでしょう。

ちなみに、僕は新卒のときにまったく自己分析をしていなかったし、公立病院に勤めたら公務員の扱いになることも知りませんでした。

ですので

こんなはずじゃなかったのに・・・

と悶々と過ごした挙句、転職することになりました(笑)

就職先を選ぶときは、ちゃんと自分のこと・施設のことを分析した方がいいですよ!!

メリット② 転職・復帰しやすい

放射線技師としての良いところは、転職や復帰がしやすいことです。

これは国家資格の旨味と言えますね。

放射線技師としての経歴にブランクがあったとしても、再就職できます。(僕自身もその一人です)

特に、各種の専門技師の認定資格を持っていれば、より転職しやすくなります。

再就職するときに、たとえば

  • 「CT検査を3年担当していました」
  • 「胃透視の認定を持っています」

などと言えば、採用する側にとっては、どれくらいのスキルがあるのか判断しやすく、採用してもらいやすいです。

女性の場合はマンモグラフィの認定技師を取っておけば、就職に困ることはないのでは?と感じています。

世間一般的には、結婚して子供が産まれたとき、女性が育休や退職して、しばらく子育てに専念するパターンが多いかと思います。(僕は子どもが産まれたとき、逆の立場を取りましたが)

つまり、女性のほうが出産・子育てを理由に放射線技師を辞めてしまう方が多いです。

ですが、放射線技師の求人には「マンモグラフィの認定必須(もしくは歓迎)」の条件がとても多いので、マンモ認定があれば安心です。

あと、少し話がそれますが、定年まで続けやすいというのもメリットです。

「放射線技師は就職難」とよく言われますが、それは「放射線技師は辞める人が少ない」ということの裏返しです。

なんとか就職さえできれば、退職の追い込まれるほどのストレスにさらされずに、定年まで続けやすい仕事だということではないでしょうか。

メリット③ 社会に貢献している実感が持ちやすい

医療職全般に言えることではありますが、放射線技師の仕事は患者さんの健康に直接かかわる仕事です。

放射線技師がいい加減な画像を撮っていては、見つかるはずの病気も見逃されてしまいます。

そういった意味で、重要な役割を担っているわけですね。

「仕事が単調でつまらない」などの不満もよく言われますが、

放射線技師も医療の大切なポジションにいる一員だ!

という認識を持つことができれば、前向きに働けるはず。

「人の健康にかかわる仕事」というのは、社会に貢献している実感が持ちやすいです。

なので、「何で自分はこんな仕事をしているんだろう」というネガティブな気持ちになりにくいのも放射線技師のメリットだと思います。

放射線技師のデメリット3選

デメリットを感じて落ち込んでいる放射線技師

つぎは放射線技師のデメリットについてお話ししていきます。

世間的には、以下のような意見が多いです↓

よく言われるデメリット
  • 被ばくがある
  • 給与が低い
  • 仕事が忙しい
  • 独立・起業できない

などなど。

ですが、これらのデメリットのなかには、就職先の施設によっては解消されるものもあります。

ここでは、僕が放射線技師として病院・クリニックともに働いてきた経験から感じる「放射線技師全般に当てはまる正直なデメリット」をご紹介したいと思います。

リアルに感じたデメリット
  • 完全に土日休みの職場はレア
  • 技術職だけど接客スキルが求められる
  • 医師より立場が低い

デメリット① 完全に土日休みの職場はレア

まず、完全に土日が休みの職場がかなり少ない、というのが大きなデメリットです。

施設によっては「完全週休二日制」という条件の求人もありますが、実は「土曜日に出勤した分の代休を平日に取れる」という場合が多い。(それでも完全週休二日制は恵まれているほうですが)

基本的に土日が休診の施設でも、救急対応をしていればシフト制で土日のどこかで出勤することになります。

つまり、「土日が完全に休み」という求人がかなりレアなのです。

この「土曜日・日曜日に出勤することがある」という労働条件は、正直なところ独身時代にはほとんど気になりません。(僕はそうでした)

ですが、結婚して子供が産まれると、事態はかなり変わってきます。

結婚相手の職場もシフト制だったり休日出勤ありの仕事だった場合、夫婦ともに出勤しなければならない土曜日(もしくは日曜日)がいずれやってくるからです。

  • 両親にサポートしてもらう
  • 子供の面倒を見てくれるサービスに申し込む

などの、特別な対応が休日出勤のたびに必要になります。

そして、子供が幼稚園や小学校に入ると、運動会などの行事が土曜日に開催されることもしばしば。

子供のイベントがある日に限って休日出勤・・・なんてこともあります。

いまこの記事を読んでいる方は、学生さんが多いと思うので、このデメリットについてはあまりピンと来ないかもしれません。

ですが、「家族との時間を大切にしたい」と感じている人には、休日出勤の存在がネックになるかもしれない、ということは頭に入れておいてほしいです。

(シフトについては上司と相談して日程を変えてもらえる職場も多いので、深刻になる必要はないですが)

デメリット② 技術職だけど接客スキルを求められる

放射線技師と聞くと、「レントゲン画像を撮る職人」というイメージもそれなりにあるかと思います。

実際のところ、放射線技師は医療技術職なので、もちろん良い画像を撮るために技術が必要です。

ただ、技術だけ高めていれば大丈夫かと言えばそうではありません。

放射線技師が画像を撮るというシチュエーションでは、かならず患者さんとのやり取りがありますから。

いくら撮影に関する技術を磨いていても、患者さんにぶっきらぼうに接していては、トラブルが多発してしまいます。

検査のときに、放射線技師は患者さんに対して

  • 「ベッドに寝転んでください」
  • 「両手を上げてください」
  • 「右足を上げてください」

など、さまざまな指示を出すことになります。(実際は、もっと複雑な指示を出すことになります)

そして、こちらが求める通りに患者さんが体位変換(ポジショニング)してくれないと、良い画像は得られないのです。

もし患者さんの協力が得られず、ダメな画像を撮った結果

医師:「なんじゃこの画像は!!もっと綺麗に撮らんかい!」

放射線技師:「だって、患者さんが言うこと聞いてくれなかったんで仕方ないっすよ」

という言い訳は、社会人として恥ずかしいですよね・・・

検査において、「いかに自分の指示にスムーズに従ってもらえるか」が大切です。

そのためには「医療スタッフ 対 患者」ではなく「人 対 人」の思いやりのあるコミュニケーションが欠かせません。

つまり、接客スキルが必要だということですね。

放射線技師は専門職だからといって、ただ勉強が好きなだけのガリ勉タイプは現場で苦労することになると思います(笑)

デメリット③ 医師より立場が低い

よく「チーム医療」という言葉を聞くと思います。

ですが、あくまで「医療スタッフ一丸となって患者さんの医療にあたる」という意味なのであって、決して医療スタッフ全員が対等な立場というワケではありません。

「医師より放射線技師のほうが立場が下」というのは、決して覆ることのない事実です。

世間一般的に言われる放射線技師の不満として「医師の言いなりで撮影するだけ」という意見がありますが、それ自体は仕方がないことです。

その理由は「医師の指示のもと」で画像検査をするという大前提があるからです。

たしかに、自分に裁量がないということを不満に感じるのも分かります。

ですが、仮に放射線技師がデタラメな画像を撮った結果、医師が病気を見逃してしまった場合でも、責任は医師が背負っています。

なので、「医師の言いなりで画像検査をする」というのは、当然なんですよね。

それは仕方ないことなので、僕としては納得できます。

ですが、どうしても職場において、医療と関係のないことであっても、放射線技師は医師に対してペコペコしがち(笑)

「医療と関係のない部分でも医師に対してペコペコしている自分がイヤ」という気持ちが常にあるので、「医師より立場が低い」ということをデメリットに挙げてみました。

(共感してくれる放射線技師の方、多いのでは?)

まとめ:放射線技師のメリデメは職場次第で異なる

放射線技師が楽しく働ける職場のイラスト

ここまで、自身の経験を通して感じた「放射線技師のメリット・デメリット」について3つずつご紹介しました。

復習としてまとめておくと、こんな感じです↓

放射線技師のメリット
  • 望む生活スタイルを選びやすい
  • 転職・復帰しやすい
  • 社会に貢献している実感が持ちやすい
放射線技師のデメリット
  • 完全に土日休みの職場はレア
  • 技術職だけど接客スキルが求められる
  • 医師より立場が低い

いろいろと書いてきましたが、僕としては放射線技師は良い仕事だと思ってます。

とにかく、自分に合った職場に出会えるかどうかが重要ですよ!

この記事にたどり着いた方は、おそらく「放射線技師になって後悔しないかどうか」が気になっていると思います。

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