こんにちは、放射線技師の「あき」です。
今回は「放射線技師の仕事が辛いと感じるシーン」について、現場のリアルな苦労についてご紹介します。
僕が現役の技師として実感している、放射線技師のマイナーな苦労についてお伝えしていきますね。
診療放射線技師(30代男性・1児の父)大阪大学卒。総合病院→他職種→企業内健診→健診クリニック。当サイトで現役技師や学生向けのコンテンツを発信。
この記事の結論として、いろいろと辛い場面はあるけれど放射線技師はいい仕事ですよ、というお話です。
ぜひ最後までご覧ください。
放射線技師の辛いシーン5選
現役の放射線技師である僕が感じる、放射線技師の辛いシーンとして、次の5つをご紹介します。
- 忙しい時間の機器トラブル
- 医師からのプレッシャー
- レントゲン画像の撮り直し
- 被ばくに敏感な患者さんの対応
- 自身の職業被ばくが気になる
それぞれについて、詳しくお話していきますね。
忙しい時間に限っておこる機器トラブル
放射線技師にとって、一番避けたいのが忙しい時間に起こる機器トラブルです。
特に多いのが、X線を発生させる重要なパーツである「X線管球」が飛んでしまい、撮影が完全にストップするケース。
CT装置やTV透視装置など、どれも稼働しなければ多くの診療が進められません。
このX線管球が飛ぶと、メーカーのサポートを呼んで部品交換をしてもらわなければなりませんが、現場に到着するまでに1時間、さらに交換には3時間かかることも。
つまり、トラブルが発生してから再びX線が正常に出るまでに数時間を要するのです。
もしこれが、患者さんが多く待っている午前中の忙しい時間に起これば、その装置を使わずに他の方法で検査を進めざるを得ません。
当然、患者さんの待ち時間も長くなり、クレームが増える原因にもなります。
放射線技師は機械が稼働しなければ業務が進められない職種であるため、機器トラブルはまさに致命的です。
日頃から点検していてもトラブルは予測できないもの。こればかりは、運任せの部分もあるのが現実です(笑)
医師からの強いプレッシャー
放射線技師に限らず、医療職では医師からのプレッシャーが大きな心理的負担になることが少なくありません。
放射線技師が特にこのプレッシャーを感じやすいのは、以下のような場面です。
- 検査の早急な終了を求められ、内線で急かされるとき
- 呼び出されて、検査内容について厳しく指摘されるとき
- 医師が撮影中の技師の横に張り付き、じっと見守っているとき
医師の人柄が温和であれば負担は少なくて済むこともありますが、厳しい態度で接してくる医師もいるため、職場の環境によってはかなりの心理的ストレスを感じることになります。
基本的に、放射線技師は撮影した画像をチェックし、問題がなければ医師に提出します。
もし画像に問題があれば、必要に応じて再撮影を行い、品質を確保した画像だけを提供します。
ただし、特に急ぎの検査や重要な検査の場合、医師が撮影現場で直接立ち会うことも。
こうした場面では撮り直しの余裕がなく、失敗が許されないため、技師には大きな緊張感がのしかかります。
職場にいる医師の人柄や職場環境によって、放射線技師が受ける心理的負担の度合いは大きく異なるのが現実です。
レントゲン画像の撮り直し
CT検査などの場合、撮り直しをする頻度はほとんどありません。
たとえ撮り直しが必要な場合でも、患者さんの息止めがうまくいかなかったなど、患者さん側の原因が多いため、再撮影の理由を説明するのは比較的スムーズです。
しかし、レントゲン撮影になると話は別です。
再撮影が必要になる原因の多くが、放射線技師側の「ポジショニングの失敗」であることが多く、技師がミスを認めて謝ったうえで撮り直しをする必要があり、気持ち的にかなり辛いものです。
特に病棟でのポータブル撮影の場合、再撮影が必要になると同席している看護師さんにも手を煩わせることになり、こちらのストレスも増してしまいます。
ポジショニングに一切ミスがないようにと細心の注意を払っていても、やはり環境や体勢によっては難しいこともあります。
それだけに、撮り直しの必要が出ると、その場の空気が一気に重くなるのを感じてしまいます。
被ばくに敏感な患者さんの対応
医療被ばくについては、ほとんどの場合、心配する必要はありません。
実際、被ばくのリスクよりも、検査を通して病気を早期発見したり、病状を正確に把握したりするメリットのほうがはるかに大きいのです。
そのため、被ばくが気になるという理由で検査をキャンセルするのは、ほとんどの場合でデメリットが大きいといえます。
ただ、なかには被ばくについて極端に不安を抱く患者さんもいて、被ばく量が本当に大丈夫なのかを何度も確認してくることがあります。
こうしたケースでは、再撮影の必要が出ても気軽にはできませんし、放射線技師としてかなり気を遣う場面です。
また、被ばくの影響については、まだわかっていない部分も多いため、こちらも納得のいくように説明するのが難しく感じることがあります。
患者さんにとって、安心して検査を受けてもらうことが重要なのはわかりますが、放射線技師としてはこういった対応はかなりのストレスを感じるものです。
自身の職業被ばくが気になる
放射線技師は、職業被ばくについてきちんと線量管理が行われているため、通常は心配する必要はありません。
毎回フィルムバッジを装着して線量をチェックしていますし、法律で定められた被ばく量の上限もしっかり守られています。
また患者さんの介助を行う場合、検査中はプロテクターも装着しているため、放射線量が健康に悪影響を及ぼすようなレベルには決してなりません。
それでも、放射線というものは目に見えないため、頭では理解していても、どうしても心のどこかで「大丈夫かな」と不安を感じてしまうものです。
放射線技師として職業上のリスクは理解しているつもりでも、この見えない不安がふとした時にストレスになることがあります。
辛いこともあるけど放射線技師は良い仕事
放射線技師の仕事には、たしかに辛いことや厳しい場面が少なくありません。
機器トラブルや医師からのプレッシャー、患者さん対応、そして自分自身の職業被ばくに対する不安など…。
目に見えないリスクや責任感を抱えながら働くことは、精神的に負担がかかることも多いです。
それでも、患者さんの健康や命を守るために、早期発見や的確な診断を支えるこの仕事には大きなやりがいがあります。
また、放射線被ばくに対する不安も、技師として知識を深めることで、徐々に解消されていくものです。
放射線技師としての役割を果たし、医療チームの一員として患者さんに貢献できる実感を持てるのは、他の仕事にはない喜びです。
辛いこともありますが、やりがいや達成感を感じられるのも、この仕事の魅力といえるでしょう。
今回は放射線技師の「辛いシーン」に焦点を当てましたが、実際には自分に合った職場を見つけることで、やりがいを持って楽しく働き続けることができる仕事です。
辛さや大変さを知った今だからこそ、放射線技師としてのやりがいや魅力を感じてもらえるはずです。
職場環境について考えたい方は、僕の転職経験をまとめた『放射線技師の転職 必勝マニュアル』もぜひ参考にしてみてください!
放射線技師を目指している学生さんや、仕事を続けるか悩んでいる新人技師さんも、ぜひポジティブな視点を持って、あなたにピッタリな職場でこの仕事を一緒にがんばっていきましょう!